今回は、寿司屋に行くと気軽に注文できるコハダについて書いてみました。身近に感じるコハダですが調べてみると意外と奥深いことがわかります。コハダの知らない世界についてご説明していきます。
●出世魚コハダってどんな魚?
コハダはニシン目ニシン科コノシロ属に分類され、出世魚としてシンコ・コハダ・ナカズミ・コノシロと成長に応じて名前が変わっていきます。コハダは、コノシロの少し小さいとき(全長10~15センチくらい)の呼び名になります。ちなみに関東では、夏にシンコが出回る季節になりますが、初物になるとキロ当たり数万円の値が付くこともあり希少な魚です。シンコは数cmの大きさの時に呼ばれます。10㎝程度の大きさになるとコハダと呼び、15㎝程度になるとナカミズ、それ以上の大きさになったサイズ(約30㎝程度)になるとコノシロと呼ばれるようになります。東アジアの内湾から下降の汽水域に群れで生息する。日本では、東北地方南部以南の西太平洋、日本海南部、東シナ海、南シナ海北部の内湾、汽水域に分布しており、産卵期は初春から初夏で直径1.5mm程度の浮遊卵を産卵します。卵は数日で孵化をしていきます。ですから初夏になるとシンコが出回ってくるのです。寿命は約3年で内湾での定着性が比較的強い魚です。
●コハダの旬は?
コハダは、白身魚で旨味が強いです。ただ小骨が多く、鮮度が命の魚なので調理する身としては、技量が問われる魚です。コハダは、酢締めで食べるので酢につける具合によって味も変わってきますので板前からすると技量が問われる魚なのです。コハダは、栄養分も豊富な魚です。良質なタンパク質に加え、ビタミンB、ビタミンD、ミネラル、カルシウムが豊富です。光ものは栄養が多いとされているので栄養面でも助けになってくれます。そんなコハダの旬は、何時ごろなのでしょうか?夏の走りはサイズ的にシンコが出回り、夏の真っただ中になるとコハダが旬になります。夏ごろから秋の終わりごろが美味しく食べられることができます。冬頃になるとサイズが大きくなりコノシロとして食べられることになります。ただ近年では、養殖技術や輸送技術の発達で年中、コハダを提供できるので寿司屋に行けば大抵、用意されています。
●小鰭と書いてコハダと読む
寿司屋でメニューを見るとコハダは、「小肌」と記載されていることが多いですよね。ちなみにぐるめ亭では、「こはだ」とひらがなで表記していますが、「小鰭」とも書くそうです。ではなぜ?「小肌」と記載されるのでしょうか?コハダは江戸前寿司の代表的な魚でもあり、体表が柔らかく光物特有の輝きもあるので子供のツヤツヤした肌に例えて「小肌」となったそうです。「小鰭」の鰭は別の読み方で、魚のヒレを示す「ハタ(鰭)」に由来する当て字です。
今回は、コハダを取り上げていきました。コハダは寿司屋に行くとメインではないですが、寿司屋を知るうえで欠かせない握りです。ですが気軽に食べられる一品です。この時期はコハダを特に美味しく食べられます。鮮度が命のコハダは、ぜひ店頭でお召し上がりください。